採択ビジネスプラン

知的・精神障がい者を対象とした就労移行支援事業





現在、知的・精神障がい者が学校を卒業して民間企業に就職することは、いまだに一般的でなく、とりわけ事務職で働くことはかなり難しい。しかし、知的・精神障がい者といえども能力を持った人材は少なからずいる。そうした人材が就職できない大きな原因は、事務職で働くための2つのスキルを身に付けさせる教育を受ける機会がないところにある。
その教育とは、①障がい者であるがゆえに身に付ける機会がなかった、企業で働くための社会人としての一般常識やビジネスマナー、②事務職で働くための職務上のスキル、現在ならばPCソフト(ワード・エクセル)の操作や簡易データ入力などを在学中に専門的に学ぶこと―である。
当事業は、知的・精神障がい者が、そうしたスキルを就労前に身に付けられるように「就労移行支援事業所」を運営することで、民間企業の障がい者雇用率のアップを図り、知的・精神障がい者がほんとうに経済的に自立し「安心」して「幸せ」な生活ができるようにバックアップしていこうとするものである。





「就労移行支援事業所」とは、障害者自立支援法に基づき、障がい者が一般民間企業に就職するための支援を行う事業所のことである。事業開始にあたっては、東京都の設置基準を満たし、知事から指定を受けた上で、ハローワークなどの機関と連携を取りながら事業を進めていく。
当事業での支援内容としてははじめに、社会で働くための基本となる報告・連絡・相談などのコミュニケーションスキルの習得と、一般常識を含めた、会社で働くためのマナー講習を行いながら、実技を取り入れ、実際に身に付くまで支援指導する。同時にPCを使った文書保存のスキャニングや簡易なデータ入力方法を学び、実務を行いながら本人の能力を見極めていく。
次の段階として、本人の希望と能力によりワード・エクセルなどのソフトの基本から応用までをマンツーマン方式で学ぶ。資格取得を目指しながら一般企業との連携による実習訓練を行い、実際の仕事を経験することで、企業で働ける人材育成を行い、就職へとつなげていく。
事業所の主な収益源は、事業所を利用し、支援サービスを受けた障がい者が住む地方自治体が、事業者に対して支払うサービス利用料である「訓練給付費」である。給付費は1日10名の利用で80,000円の収益となる。障がい者の自己負担金は本人の前年度の年収によるが、福祉作業所の月給水準であれば月1,500円が自己負担となる。
当事業の社会的効果としては、知的・精神障がい者の雇用率アップのほかに、現業(掃除とか飲食店の洗い場など)以外の職域が生まれ、職業の選択の幅が広がる。離職率の低下にもなる。障がい者雇用で職域(障がい者にやってもらう仕事)が見つけられずに、法定雇用率(1.8%)を満たせず、罰金として納付金を納めざるを得ない企業にとっては、実習などを通じて障害者雇用を始めるきっかけになるといった効果も期待できる。
将来的には、特例子会社制度(事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、雇用率を算定できる)を利用して、企業との連携の下で、知的・精神障がい者のための会社(農業法人、プラント栽培工場など)を作っていき、卒業生の受け皿を当法人自らで開拓していくことも計画している。



当起業プランの起案者である佐藤悟(さとる)さんは、平成16年11月に同氏が発起人となり、知的・精神障がい者の親が集まり、特例子会社についての勉強会を立ち上げた。その後、それが発展的にNPO法人特例子会社推進会として、法人格を取得、現在その副理事長を務めている。
これまでの実績としては、都内近郊にある既存の特例子会社の見学や実地調査、特例子会社に関する講演会や設立相談、特例子会社の親会社の製品を優先して購入する運動などを行ってきた。また、知的・精神障がい者の雇用を啓蒙するための漫画冊子を制作し、全国の個人・団体に無料配布するなどの活動もしてきた。
こうした活動を通じて、また佐藤氏自身が知的障がい者を持つ親の一人として、働く能力があるにもかかわらず、障がい者が月5,000円の給与で生きている現実を知り、障がい者であっても経済的に自立するためには、企業の障害者雇用枠で働くことが最も良い道であると感じた。そのためには、「企業に就職するためのスキルを身に付けられる専門学校のような場所が不可欠」と思ったことが、当事業プランを思い立つきっかけになった。



  1.     提供価値:知的・精神障害者が、民間企業で働くスキルを提供し、民間企業への就労機会を高め、経済的な自立を促進することにより、「安心」して「幸せ」な生活ができるようにする。
  2.     量:知的・精神障がい者の教育訓練への参加者の増加、民間企業の知的・精神障がい者に対する理解の促進や雇用比率の拡大、訓練後の民間企業への就労実績の拡大。
  3.     持続性:教育訓練後の民間企業への就労機会、特定子会社設立による知的・精神障がい者の就労機会の拡大。
  4.     影響力:知的・精神障がい者が民間企業で働くことが拡大し、民間企業にとっても、知的・精神障がい者の雇用が当たり前になる社会が実現される。

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