採択ビジネスプラン

ライフヘルパーサービス事業






大下誠さんが「ライフヘルパー」サービス事業で解決しようとする地域・社会問題は、いわゆる介護難民問題だ。典型的な例として、施設入所を希望しながらも順番待ちで入所できず、さまざまな意味で負担の大きい在宅介護を強いられている世帯がある。2010年1月に厚生労働省が発表したデータでは、施設入所待機者は全国で42万人もいるという。また、2010年6月にケアラー連盟が発表したところでは、家族介護者の26%が介護のために退職を余儀なくされているという。さらには、在院日数に制限のある病院や老健施設を退院した後の行き場がなく、在宅介護しか選択肢がない世帯も相当数存在する。





大下さんは介護難民問題を、訪問介護と家事代行を組み合わせた「ライフヘルパー」サービスの提供によって解決しようと考えている。既存のサービスでは別々の事業者に依頼せざるを得なかった2つのサービスを、1人のヘルパーが提供するというこのサービスにより、家事代行料金の低額化と介護従事者が働きやすい環境を一度に実現することができる。

介護の専門家であるホームヘルパーは、基本的に介護者を家族が見られない時間にスポット的に訪問して介護を代行するというスタイルのサービスとなっている。よって、多くの在宅介護世帯では3人~4人ものヘルパーが出入りすることになってしまい、ホームセキュリティ的に不安のある状況になりかねない。かつ、ホームヘルパーは保険適用範囲内のサービスにしか対応しないため、同居家族に対するサービスは一切不可となっている。また、ホームヘルパー以外に家政婦(家事代行サービス)も必要な場合、こういったサービスの価格は一般的に非常に高いため、たとえば9時から16時までのサービスを毎日利用した場合、月額では30万程度の負担となってしまう。この金額では、現実的には経済的にかなり余裕のある世帯でなければホームヘルパーと家事代行サービスの併用は難しくなる。

大下さんが考案したライフヘルパーサービスでは、従来のホームヘルパーと家政婦が行なっていたサービスを1人のライフヘルパーが同時に提供する。このため、まずは訪問するヘルパーの人数を1人に減らすことができる。また、高額な家事代行サービスを利用する必要がなくなり、平均的な介護世帯では5万円程度の自己負担にて無理のない在宅介護を行えるようになる。ヘルパー側にも、移動にかかる時間や交通費が必要なくなり、効率よく仕事ができるというメリットがある。

さらには、国や自治体といった介護保険制度運用者側から見たメリットとしては、施設入所待機者問題の解消と施設建造コストの削減、在宅介護を選択する世帯が増えることによる1人あたりの介護コストの低減、そしてこれらの帰結としての社会保障費の抑制と自治体における財政難解消が見込める。

事業の雇用創出効果としては、1事業所あたり年商約1億円・経常利益1200万円見込みで、正社員6名とパート社員50名程度の雇用を予定している。大下さんは、今後は1年に1事業所程度のペースで事業を拡大し、より多くの介護難民を救い、より多くの雇用を創出し、そして自治体の財政難解消に寄与していきたいと計画している。





大下さんは介護事業を営む社会福祉法人のCFO(最高財務責任者)として8年勤めた経歴があり、当時から介護難民問題に心を痛めていたという。2010年に入学した法政ビジネススクールにて、今回採択された「ライフヘルパーサービス事業」を着想。卒業時には優秀プロジェクトに選ばれている。iSBに対しては、資金面での支援だけではなく、国の事業で採択されたことを広く社会にPRしてもらえたらという希望を持っている。「ライフヘルパーで日本の介護を救いたい」と語る大下さんは、今後より深刻になるであろう高齢化や自治体の財政難を緩和するべく、今後も精力的に活動を続けていく。

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