採択ビジネスプラン

消費とCSRで支える、農業を通じた障がい者自立支援





農業の収益性改善、障がい者の所得向上、CO2の削減という3つの社会的課題を一体的に解決しようというプロジェクト。

農業はもともと収益性の低い産業だが、最近では、さらに円高、重油高が追い打ちをかけて、ハウス栽培農業は収益性が悪化している。日本経済の構造的不況により、労働市場も厳しい状況が続き、社会的弱者、とりわけ障がい者の雇用状況はますます厳しさを増している。当事業は、まずこの2つの大きな社会問題を、①農業用のハウス暖房にこれまで使用してきた重油などの化石燃料から、コストの安いバイオマス(カーボンニュートラル)燃料に替えてもらう、②バイオマス燃料の製造過程で障がい者を雇用する機会を増やす―ことで解決し、あわせて環境問題の改善にも貢献しようという取り組みである。





■農業振興事業

農業用ハウスにおいて、現在使用されている化石燃料をコストの安いバイオマス燃料に替えることで、重油使用量を削減させ、農業のコスト削減を可能にし、CO2排出削減クレジットの販売益で収益改善を果たす。農業の収益性が増せば、若者も農業に就労する意欲が沸く。収穫される農産物は「環境配慮型農産品」としてブランディングし販売できるので、販売促進の効果もある。

■障がい者自立支援事業

食品残さ・畜糞などの高水分有機廃棄物は、現在処理費を払って処分されている。当事業が農業振興に使用しようとしているのは、こうした高水分有機廃棄物を乾燥させることで取れる代替化石燃料である。この乾燥という工程の軽作業(原料投入・袋詰めなど)に、知的障がい者に参加してもらう。これまで畜産農家などが払っていた有機廃棄物の処分費相当分と、代替化石燃料の販売額が賃金の原資になる。

企業に対し労働者数の一定の割合を障がい者を雇うことを義務付けている「企業における障がい者の雇用に関する法律」の「特例子会社」という制度を利用して、企業の協力のもとにこの事業を推進することも考えている。企業にとっては、福祉に配慮した企業として広報できる。このバイオマス燃料を使用している農家は、先の「環境配慮型」に加え、さらに「福祉配慮型製品」として農産品を市場に出すことができる。

■環境事業

バイオマス燃料は、カーボンフリーなのでCO2削減効果は高い。この燃料を農業ハウス暖房用に使用し重油使用量を削減することで、CO2排出削減クレジットの認証を取得する。CSR(企業の社会的責任)広報を行いたい企業に対しては、当該クレジットをカーボンオフセット(企業のCO2削減目標未達成部分を他社のCO2削減クレジットを買い取ることで埋め合わせる制度)に活用してもらう。



起案者の山村公人さんは、大学卒業後シャープ㈱に入社したが、1999年に退職し独立。企業向けコスト削減のコンサルティングなどの仕事をしてきた。2003年には会社を設立し、現在に至る。この間、地元の森林組合の木質燃料生産・木質バイオマスボイラーによる熱供給化調査の委員、久留米市市長から地球温暖化対策協議会委員を委嘱されるなど、環境問題やCO2削減問題にも取り組んできた。そうした活動を通して知り合った、社会福祉法人で農業問題に取り組んでいる人との出会いから農業の抱えている問題を知り、自分が取り組んでいる環境問題との融合で解決できる事業ができないかと考えたのが、この事業を考えるきっかけになった。

福祉や農業における実績はまだないが、CO2削減問題については、福岡県内で農業の重油炊きボイラーをヒートポンプに替えていく事業で、10件ほどの実績がある。

当事業の課題としては、「農業と環境と福祉の問題を一体として解決しようという大変な事業だが、共鳴してくれている人も多く、大学との連携もできている。あとは実際に事業を始めるだけである。ただ、有機性廃棄物をバイオマスにするためのデモ用のモデル機を買うのに資金がいるので、そのための資金調達、補助金の獲得が必要。今後事業を軌道に乗せるためには、消費者とのつながりをどう作っていくか、そのためのソーシャルメディアの活用なども検討事項」と言っている。



単独でも解決が難しい社会的課題を、農業の収益性改善、障がい者の所得向上、CO2削減という3つの課題を一体的に解決することで効果を高める。
  1.     提供価値:障害者の雇用・所得の向上、農家の収益性の向上、および、CO2を削減する。
  2.     量:バイオマス燃料に変えることによるCO2削減効果、および農家の収益化アップの度合い、障害者雇用者数の増加、採用農家の数。
  3.     持続性:農家がこのスキームを採用することによって、実際のコスト削減、収益向上に結びつくかどうかがポイント。
  4.     影響力:それぞれが大きな社会的課題である3つのテーマを、有機的に結びつけることで解決する方策を打ち出せれば社会に大きな影響力をもたらす。


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