採択ビジネスプラン

「ひらけ!GOMA~open! sesami.」プロジェクト





平成19年度文部科学省調査において、「発達障がい児」(IQ80以上の知的障がいを伴わない通常学級在籍児童)の推定数は、人口の6.3%といわれている。この数値は各学校の1クラスあたりの人数に換算すると1~3名にあたる。知的障がいを伴わない発達障がいの定義はさまざまだが、主なものとしては広汎性発達障がい、自閉症スペクトラム=高機能自閉症、アスペルガー症候群、ADHD、学習障がい、等の障がいを含む。彼らに共通するのは全体的な遅れが少なく一見普通に見えることであり、そのために適切な教育が受けられず、違和感を抱いたり不自由を感じながらも、そのまま成長してしまう子供が多い。成長した彼らの就労は現在大変困難な状況にあり、素晴らしい個性を持ちながらも環境が伴わないため能力を発揮できず、仕事に就けない発達障がいの若者がほとんどである。また、彼らの多くがニートやひきこもりと呼ばれる状態にある。





阿部祥子さんの「ひらけ! GOMA~open! sesami.」プロジェクトでは、このような発達障がい児(者)の自立を3つの事業で支援する。1つ目は主に幼少期の子供を対象にしたiPadアプリの開発。2つ目は発達障がいに関わる出版企画などを行う書籍出版・Webサイト事業。3つ目は主に高校生以上を対象にした在宅ワーク・就労サポート事業だ。

1つ目のアプリ開発では「おたすけごまっち」というiPadアプリをすでに開発済みだ(「ごまっち」とは阿部さんが考案した発達障がい児を指す言葉で、一見わかりにくいが高い潜在能力を持つ彼らを、粒は小さく殻は硬いが栄養価の高いごまに例えている)。このアプリは、言語的コミュニケーションだけではなかなか1日の行動を組み立てられない発達障がい児が、視覚認知に有効なイラストを利用して楽しく1日を過ごすためのソフトウェアだ。たとえば、朝6時になると「朝おきる」という文字と共に、布団の上で目覚めている子供と6時を指した時計のイラストが表示されるので、使用者は直感的に「今は6時で、起きなければならないんだな」ということが分かる。このようなソフトは発達障がい児とその家族たちが幸せに暮らすために非常に有効であるという。現在配布されている無料版は、iPadユーザーの声を集め、今後のバージョンアップに活かしたり他の支援事業に活かしたりするためのバージョンで、2012年1月には有償版のリリースが予定されている。

2つ目の書籍出版・Webサイト事業では、発達障がいに特化した絵本や実用書などの出版企画と、Webサイトでの雇用就労情報の発信を行う。出版に関しては発達障がい児(者)とその家族を支援するNPOパルレ(代表者の坪井久美子さんは本プランの共同起案者)との提携により、内容の監修などを受けることになっている。

3つ目の在宅ワーク・就労サポート事業は、就労のためのスキル研修と、研修後にクリエイター認定を受けた発達障がい者への在宅ワークの発注の2本柱からなる事業である。スキル研修には単発イベントとクリエイター養成のためのコースがあり、前者としては職業体験講座、児童を対象にした「ちびごまっちハローワーク」、そして保護者のための勉強会などが予定されている。後者はグラフィックコースとアートコースからなるデザインコース、オフィスコースとWebコースからなるオフィスワークコース、コピーワークコースと編集校正コースからなる文系コースがある。

上記3事業を通じて、阿部さんは発達障がい児(者)が経済的に自立し、彼らとその家族が地域のなかで守られながら安心して暮らせる社会に変えていきたいと考えている。



グラフィックデザイナーとして、デザイン企画制作の分野で28年の経験を持つ阿部さんは、4才の時に娘さんが発達障がい(高機能自閉症)と診断されたのを機に、NPO法人パルレの前身である「青少年育成・自立支援の会パルレ」に入会し、本プランの共同起案者である坪井久美子さんと出会う。デザイナーとしての豊富な経験を活かして発達障がい児とその家族が幸せに暮らせる社会の創造に寄与することは、自分の使命であると強く認識している。iSBのビジネスプランコンペは、もやもやしていた自分が一歩を踏み出すきっかけであり、踏み出した後の道筋も立ててくれた存在であり、将来的に新しいiSBが立ち上がることを期待している。


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