採択ビジネスプラン

山間地農業者と都市生活者を結ぶH2Hプロジェクト





梶村さんが解決しようとする地域・社会課題は、39.6万ヘクタールにも及ぶ耕作放棄地と7878箇所の限界集落を抱える中山間地域の農業活性だ。特に農業生産が不利な山間地域では、農業による現金収入の機会および金額が少ないために雇用の受け皿になり得ず若者が流出し、結果として少子高齢化によるコミュニティの存続危機および伝統文化・風習の断絶、自然環境の荒廃による鳥獣被害の拡大および水源機能の低下、景観の荒廃、および耕作放棄地の増加といった問題が発生している。



上記の諸問題を解決するために梶村さんが構築した事業モデルは、山間地農業を営む農家と八百屋の直接取引を仲介し、農家の現金収入の機会を創出することを軸にしている。コンセプトは「農家のおすそ分け」。小規模でしか栽培されず市場に出回ることのなかった農家の自家用野菜を、八百屋という小規模店舗を介して都市の生活者に提供することにより、大手流通に乗った野菜とは違う付加価値を生み出している。

初期の事業内容としては、農産物の販売仲介(発注管理をおこない生産者と八百屋との直接取引を仲介)、生産者から得た情報の八百屋への提供、八百屋への販売指導、生活者へのプロモーション活動、を実施している。収益モデルとしては、生産者からは毎月6000円の会費と売上の8%の販売手数料を、そして八百屋からは毎月3万円の会費を頂くモデルとなっている。現在のところ7つの生産者との提携が決定しており、八百屋に関してはいくつかの店舗と提携の交渉中である。

生産者側のメリットとしては、小ロットでの出荷が可能であるため、これまで自家用や交換用に栽培していた農産物でも収入源にできることのほか、H2Hプロジェクトを通して販売することによるブランド価値の向上、八百屋を介して生活者と近い距離でコミュニケーションできることによるモチベーションの向上、販路を確保できることによる小規模生産者としての就農の成功確率の向上が上げられる。

そして、生産者から直接仕入れた農産物を生活者に提供する役割を担う八百屋には、卸売市場に依存しない新たな仕入先を確保できることによる商品力の向上、他店での成功事例を自店の商活動に活かせること、商店街を含む周辺地域の活性化に交換できること、といったメリットがある。

また、八百屋を介して「農家のおすそ分け」を受けられる生活者には、流通経路が短く鮮度の高い、安心・安全な農産物を購入できるだけでなく、地元の八百屋と直接取引している生産者との継続的な取引を通じて彼らとの「信頼」を構築できる、消費活動を通じて生産者や生産地域を育てるという社会貢献的な欲求を満たすことができる、といったメリットがある。

梶村さんは10年後の目標を2つ設定している。1つは、小規模生産者800戸に対する販路提供。もう1つは生業としての農業を志す若者100名の新規就農だ。また、中山間地の小規模生産者から農産物を購入することで生産者や生産地域を育てたり、生産地域の自然環境を保全したりできる、新たな社会的使命を担える八百屋を増やすことで、彼らの経営力を向上させ、商店街等の地域コミュニティの維持・活性化にも貢献したいとも考えている。

上述の事業モデルを補完する事業として地域食品の企画販売会社とのコラボレーションや、自前店舗を構えての露店販売、都内飲食店とのタイアップ企画なども模索する梶村さんのH2Hプロジェクトに、今後も期待したい。


数年前から自らが生業としての農業に魅せられていたという梶村さん。特に、豊かな自然が残るが条件は悪い中山間地で農的生活を送りたいと思い続けていた。そしていざその世界に飛び込もうとした梶村さんは、中山間地での農業にとっての最大の問題は何かと自問自答した結果、それが「販路開拓」であると考えるようになり、この事業プランを構築することになった。単なる「就農」ではなく「起業」という形を選択したのは、自己完結型での成功を求めるのではなく、自分と同じ志を持つ仲間やステークホルダーと共に夢を実現し、喜びを共有したかったからだそうだ。



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