採択ビジネスプラン

小さな命のライフセービング事業





大西正也さんが解決しようとする社会課題は、拡大市場でありながら消費者教育が伴っていないペット市場に関する諸問題である。具体的には、欧米に比べてペット飼育の知識や技術と飼い主責任意識が低い飼い主に起因する問題やトラブル、経営モラルの低いペット関連業者に起因する問題やトラブル、に関する問題だ。これらの既に顕在化している問題の解決以外にも、「ペットと共生する社会基盤の整備が遅れている」というペット後進国・日本の根本的問題の解決を図るべく、ペット動物を媒介とする地域コミュニティ構築をも目指す。





大西さんの事業は3つの柱で成り立つ。1つ目は責任感のある飼い主を育成するグッドオーナー育成事業。2つ目はペットの殺処分数を減らす殺処分対象ペットの譲渡マッチング。3つ目は良い飼い主とペットとの暮らしを充実させる会員制通販サービス事業だ。

1つ目の「グッドオーナー育成事業」は、教育コンテンツの発信と啓発セミナーで構成される。そのコンテンツの内容のひとつには、NPO法人 動物愛護社会化推進協会からの委託で運営される「犬の飼い主検定」がある。また、ペット通販業者最大手企業との協力による、犬猫の飼い方や手入れに関するテキスト提供や、ペットフード・ペット用品メーカーとのコラボレーションによる、正しい商品の選び方や商品知識を提供する啓発セミナーの実施を推進している。「グッドオーナー育成事業」には、人気イラストレーター坂崎千春さん(Suicaのペンギンなどで実績多数)のデザインによるマスコットキャラクターが活用され、親しみやすさや飼い主の自覚向上に寄与している。

2つ目の殺処分対象ペットの譲渡マッチングは、譲渡マッチング用ポータルサイト(大西さんが設立予定のNPOが運営)を経由して、飼育放棄等の理由により、各地の動物愛護センターへ集められた殺処分を待つ犬や猫と、譲渡を希望する個人や家庭をマッチングする事業である。より具体的には、同NPOから有償ボランティアが動物愛護センターに月2−3回派遣され、対象ペット動物の特徴・性質等の取材・ムービー撮影を行う。取材された情報・ムービーはポータルサイト上に検索可能なデータとしてアップされる。譲渡を希望する個人・家庭はポータルサイトに飼育希望者としてプロフィールを登録する。彼らは、自らサイト上を検索して飼育したいタイプのペット動物を検索し、見つかれば譲渡の希望を申し出ることもできるし、有償ボランティアから希望や住環境等に合ったペット動物を紹介してもらうこともできる。有償ボランティアは、ペット飼育初心者のアドバイザーにもなる。

また、この事業では前述のようなスポンサー企業の協力も得られることが決まっており、動物愛護センターへの物資援助や、マッチング成立時における新しい飼い主への特別価格でのペット物品販売により、譲渡マッチングの成立をサポートする。この事業のスポンサーになることは企業のCSR活動としても成り立ち、当該のCSR活動が広くアピールされれば事業自体の知名度も上がり、ペットショップからのペット動物購入とは異なる、命を救うペット取得の選択肢である「譲渡」の普及にもつながる。

3つ目の事業である会員制通販サービス事業は、グッドオーナー限定で、スポンサー企業が販売するペット用品(フード、ペットシーツ、その他)が特別価格で購入できるスキームである。ペット用品の購入特典により、事業サイクルの継続性とリピーターを確保していく。モラルの高い飼い主で形成されたネットワーク上で、スポンサー企業の商品を積極的に販売促進することで、スポンサー企業のブランド価値アップにも貢献できる。



大西さんが今回のプランで iSB公共未来塾に応募したきっかけは、ペット用品通販カタログ「PEPPY」を発行する新日本カレンダー株式会社の代表取締役と出会い、人とペットが共生する社会への実現に対する想いに共感し、その後法政大学院イノベーションマネジメント研究科で、ペット市場と業界の研究を進める中、上述したペットに関する諸問題を知ったことにある。「私はいわゆる動物愛護論者ではない」と語る大西さんだが、マーケッターとしてペット市場を見た場合、企業による消費者保護、製造者または販売者責任、CSRなど、様々な経営課題がそこに存在すると感じている。毎年90~100万頭の犬・猫が市場供給され、一方で供給数の25~30%にあたる犬・猫が殺処分される現状である(平成21年度24万頭)が、動物愛護センターに送られた犬・猫のうち、5%程は新しい飼い主のもとに譲渡されているそうで、大西さんはこの譲渡という方法をぜひもっと多くの消費者に知ってほしいと語る。さらに、大西さんは、「ペット動物には、性別・世代・そして国籍すら超えた、人の心を穏やかにし、笑顔をつくるテーマパークのようなコンテンツパワーがある。私達の生活のなかで、ペット動物を生かし、活かせる暮らしの豊かさや楽しさを広めていきたい」というビジョンを描いている。


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