採択ビジネスプラン

刑事施設出所者に対するピア・カウンセリングを伴う社会定着支援事業





刑務所等での服役を終え、社会に復帰しようとする刑事施設出所者は、支えになる家族や友人がいない、所持金が少ない、ある程度の期間社会から隔離されていた、就労のためのスキルが不足しているといった理由により、自分たちの力だけでスムーズに社会復帰することに困難を感じる人が多い。しかし、刑事施設出所者の社会への復帰と定着を支援する更生保護施設などのインフラは現在圧倒的に不足している。また、受け入れにあたっては仮出所者のみが優先され、期間も6ヶ月と短く、その後のフォローが無いなど、更生保護施設の体制そのものにも問題が見受けられる。このような状況に置かれ、生き甲斐も感じられず希望をなくした出所者の多くが再び犯罪を起こしており、満期出所者の10年間の累積再入率は実に65.5%という高い数値を示している。



小竹さんは「配りの会」という出所者同士の自助グループを起ち上げて、刑事施設出所者が社会復帰の入り口でつまづかないようにすることで、上記の問題の解決を試みている。出所者がまず直面する問題は、引受人がいない、住む場所がない、仕事がない、生活スキルがない、生き甲斐がない、などである。「配りの会」ではそれぞれの問題を、ピア・カウンセリングを実施する「ピア・カウンセラー」が、引受人を兼ねる、生活保護の手続きをサポートする、ジョブトレーニングなどの就労支援を実施する、ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)を実施する、グループミーティングで居場所を作ったり別の出所者の支援にあたらせたりする、などの策で解決している。

「配りの会」が一般の更生保護施設と最も違うのは、この会が同じ経験を持つ出所者の方たちで構成される自助グループである点だ。このような会に、「仲間」の1人として受け入れてもらい、個人が抱える問題についてもグループ内で共に考えることで、刑事施設出所者が抱える最大にして最も深刻な問題である「孤独」がいささかなりとも解消される。

「配りの会」自体はNPO法人として設立申請中だが(2012年3月に認証予定)、出所者にジョブトレーニングの場と雇用を提供する目的で、自らも出所者で「配りの会」の理事長予定者である鈴木さんは2011年3月にコーヒー豆の輸入・焙煎・販売を行う株式会社ER商会も設立している。今後の仕組みとしては、ER商会が卸したコーヒー豆を、配りの会でジョブトレーニングも兼ねたボランティア活動として焙煎・袋詰めし、「配りの会」がこれを販売するというモデルになっている。

「配りの会」では今後、保護観察所からの委託を受けて出所者に宿泊場所を提供する「自立準備ホーム」と呼ばれる施設の設立を計画している。また、すでに活動しているピア・カウンセラーのうち数名が2012年4月より産業カウンセラー養成講座に通うことになっている他、グループ・カウンセリングや治療共同体などのプログラムの取り入れも検討している。将来的には、出所者がより付加価値の高いスキルを身につけ、胸を張って社会に飛び立てるよう、自立を達成した出所者のうち希望する者をピア・カウンセラーとして養成していきたいとも考えている。





小竹さんが司法修習生の時に初めて関与した刑事事件は、12月30日に刑務所を満期出所した被告人が、更生保護施設に受け入れてもらえず、年末年始で保護観察所も閉まっている中、数日野宿した後、自暴自棄になり無銭飲食をしたという事件だった。30才頃から何度も同じような無銭飲食を繰り返し、十数年間刑務所を出入りしてきた人だった。出所後の更生保護施策がないに等しいという問題を何とかしなければと、小竹さんは自身が担当した刑事事件では、服役する人たちに対し、出所後も困ったことがあれば連絡するよう声をかけてきたそうだ。そして2010年、出所者に生活保護申請援助を行った事例が読売新聞に取り上げられ、その際に記者の紹介で同じ問題意識を持つ鈴木さんと出会ったことが、自助グループ立ち上げの大きな弾みとなった。成人出所者のための自助グループ的な活動は日本では例がないので、この仕組みをもっと広げて、さまざまな地域で出所者が社会に受け入れられる体制を整えていきたいと考えている。

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