採択ビジネスプラン

市民の自主的健康増進の風土醸成






医療費の適正化を目指して特定健診および特定保健指導を義務化する法律(通称「メタボ法」)が施行されて3年経つが、生活習慣病患者の数を劇的に減らすには至っていない。この問題の根本的原因は市民の医療や健康に関する問題意識の低さにあるが、医療従事者による教育では生活習慣病予防の効果は十分に 得られていない。生活習慣病予備軍の「わかってはいるが、変われない」という危機感の薄さを解決するには、同じ病気を経験した人々に自らの体験・経験を伝えてもらうのが効果的である。しかし、潜在的な患者講師に教育者としてのスキルを伝え、講師として育成する研修システムが存在せず、また彼らについての情報を集約したデータベースも存在しないため、講義や講演のために患者講師を招聘したいと考える医療系大学などでも、個人間のつながりに依存して講師を探さざるを得ない状況にある。



鈴木さんは、患者講師を効果的・効率的に育成できる体制を整備することで、上述の問題を解決しようと試みている。
鈴木さんが立案した事業モデルでは、まずは患者講師のための研修プログラムを構築する。その後、患者として闘病している方・していた方を対象にその 研修プログラムを実施し、その方たちを「患者講師」として育成する。教育者としてのさまざまなスキルを身につけた患者講師たちは、医療系大学・専門学校、 健康保険組合、保健所などに派遣され、市民や医療従事者に対して自らの患者体験を通して感じたことや得た知見などを講義形式で伝える。このような講義は、 市民に健康管理の重要性を気付かせる効果が期待され、また患者の気持ちや立場を理解し、患者に寄り添って治療等をおこなえる医療従事者の育成にも役立つ。

健康に対する市民の意識が向上し、自分の体は自分で管理しようという市民が増えることで、健康寿命が伸長し、同時に寝たきり寿命(現在では寝たきり 平均期間は約10年である)が短縮できる。寝たきり寿命の短縮は、薬剤投与量の増加が多く見られる終末期医療を直接的に短縮でき、医療費の抑制につなが る。さらに、医療従事者自身の負担も減るので、結果的には医療安全にも寄与できる。

当モデルのもう1つの利点は、患者または元患者という立場にある方々に新しい雇用の場を提供できることだ。身体の状態によって企業への就労が難しい彼らが患者講師となることで、病気の新たな価値を見出し、同時に生き甲斐を感じられるようにもなる。



自らが患者講師として100回以上の講演実績を持つ鈴木さんは、患者講師が自らの経験や苦労を生の声として市民に伝えることは、行政主導のメタボ リックシンドローム予防プログラムをはるかに超える効果を持つと確信している。現在、国ではカルテや診察券の一元化とWeb化を検討しているが、このよう な高度な仕組みも、市民が「自分の健康は自分で管理しよう」という高い意識を持ってこそはじめて効果的に機能する。鈴木さんのビジョンは「患者講師が当た り前に存在する社会を実現する」こと。患者講師の力が日本の医療体制を変え、市民一人ひとりが当たり前のように自分の身体を真に自分ごととして管理する風 土を一日も早く日本で実現したいと強い思いを抱いている。


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