採択ビジネスプラン

つるがしま子どもアートセンター設立事業



子どもが育つ社会環境は昭和30−40年代に比べて確実に悪化している。具体的には、地域における世代間交流の薄まり、ひとり親世帯の増加、格差社 会の出現により、幼児や児童虐待の事例や貧困家庭の数が増加している。また、親(両親、ひとり親、いずれも)だけが子どものことを抱え込むようになったせ いで、文化的・情操的なものを含むさまざまな意味での「豊かな子育て」が難しい状況になっている。さらに2011年の震災後には、実際に放射能の被害を如 実に受けた福島に限らず、日本中の母親たちが子育てに大きな不安を感じ、これまで当たり前のように享受してきた安全に危機感を感じている。この不安も、上 述のような状況の中で解決されないまま放置されている。

「親だけが子どものことを抱え込んでいる」という問題を解決するため、木部さんは埼玉県鶴ヶ島市に子どものためのアートセンターを設立したいと考え ている。アートセンターは、子どもの文化の醸成や子育てに適した環境づくりのために世代間交流を再び活性化し、さらに子どものコミュニケーション能力や アート・デジタルでの表現力を向上させることで、子どもの全人格成長をサポートする社会的基盤となる。

子どもアートセンターで行う事業は大きく分けて3つある。1つ目は子ども・親子・大人向けにエンターテイメントやワークショップを提供するアート事 業。ここでは、例えば子ども向けに舞台芸術の鑑賞会を、親子向けにはアート表現力やデジタル表現力を高めるためのワークショップを、そして大人向けには布 芝居づくりや子どもの権利条約について学ぶワークショップを提供する。2つ目はシェアオフィスなどの施設を貸し出して収益を得る施設事業。シェアオフィス は木部さんのミッションに共感する個人・企業を対象にしたレンタルオフィス事業であり、その他にもアート事業で使用していない時間帯にはワークショップ ルームやホールを貸し出すこともできる。この施設事業は事業全体に対して主たる収入源になると想定されている。そして3つ目が世代間交流事業。ここでは、 例えば独居老人と子どもが交流する場や、子ども活動団体同士が交流する場を作ることで、60−70年代の日本に存在した「親以外の大人の目が地域で子ども を見守る環境」を再生しようというものである。

子どもアートセンターが地域に存在することで、木部さんはその地域に子どもを育てる仕組みが生まれ、世代を超えた地域のつながりが生まれると考えて いる。また、アートセンター運営に必要なスタッフ分の雇用創出、シェアオフィス・コワーキングスペース増加による地域の起業家支援、そして周辺地域で行わ れている子どもを対象にした社会活動の支援に繋がることも予想される。

木部さんは平成4年度から「広域おやこ劇場ひき北いるま」の運営委員・副委員長をつとめたのを皮切りに、親と子のための劇場の運営に関わったり、小 中学校のPTA役員をつとめたりしながら、地域がかかえる子育ての問題を間近で見つめてきた。鶴ヶ島は戦後から社会教育にしっかり取り組んできた市であ り、市民活動や協働の基盤ができている。しかし、各団体の活動は自己実現レベルに留まり、皆で社会の問題を解決するとか、政策提言するといったところまで は至っていない。そこで木部さんが思ったのは「すべての市民が会員であるという前提の元に、子どもをメインターゲットにアートをテーマに活動を行ったら、 子どもだけではなくすべての人が暮らしやすくなるのでは?」ということ。子どもアートセンター構想はそんな思いから生まれている。子どもたちが豊かに育つ 地域づくりは、高齢者福祉や障がい者福祉の理念とも通じ合い、子どもアートセンター構想は、基本的人権が守られ誰もが幸せに暮らせる社会の実現に寄与でき ると考えたからだという。


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