“30年後のあるべき倉敷”の実現方法を考えよう



節分にあたる2月3日、第2回目の「倉敷未来会議」が倉敷市芸文館で催されました。今回の目的は、第1回目に参加者全員で描いた「30年後の倉敷の 未来のあるべき姿とは?」というビジョンから導きだしたいくつかのテーマ(後述)を実現するための "How" を考えること。

第2回でも前回同様、株式会社ラーニングプロセスの視覚会議®という会議術を使って、参加者全員で発言しながら、未来志向でテーマの実現方法を考えていきます。

おさらいとして、第1回目の「倉敷未来会議」のアウトプットを再掲いたします。

<視覚会議®テーマ>
30年後の倉敷の未来のあるべき姿とは?

<選ばれた10のキーワード>
‐ 教育
‐ コミュニティ創造
‐ 笑顔
‐ なつかしい風景
‐ 豊かな自然
‐ 多様な価値観
‐ ゆとり
‐ 子ども
‐ 精神的豊かさ
‐ ぬくもり

<キーワード作文の例>

- 30年後の倉敷の未来のあるべき姿とは、なつかしい風景や豊かな自然の中で、精神的な豊かさを大切にした教育が子どもを育て、多様な価値観をもって、ぬくもりのあるコミュニティを創成し、笑顔があふれる町になっている。

- 30年後の倉敷の未来のあるべき姿とは、コミュニティの創成が行われ、多様な価値観を受け入れる中で、地域でこどもの教育を行なっている。懐かしい風景・豊かな自然が広がる地域で笑顔があふれ、ゆとりやぬくもりを感じる精神的に豊かな町の姿となっている。

- 30年後の倉敷の未来のあるべき姿とは、多様な価値観を許容するゆとりとぬくもりのあるコミュニティが創成され、そこでは精神的な豊かさに裏打ちされた教育や地域文化の継承が進み、成人にとってのなつかしい風景が、豊かな自然と共に子どもたちの笑顔を育んでいる。

視覚会議® の特徴や利点について詳しくお知りになりたい方は、mass x mass/関内フューチャーセンターのサイトにある「第一回 関内エンハンスドレポート(http://massmass.jp/archives/547)」をご参照ください。

豊かな自然と懐かしい風景、精神的に豊かな子を育てる教育と遊び、多様な価値観を許容するコミュニティ

前項で上げた10のキーワードと参加者全員のキーワード作文に基づいて、第2回で議論するテーマについて事務局側で以下の3つに決定しました。

- 豊かな自然と懐かしい風景を残し、活用する活動を進めていくためのアイデアとは?

- 子どもたちに精神的豊かさをもたらす教育と遊びのアイデアとは?

- 多様な価値観の生き方、働き方を許容するコミュニティを創成するためのアイデアとは?

時間の制限とファシリテーターの人数により、上記3つのうち2つを参加者に選んでもらって実施することになりました。選ばれたのは「豊かな自然と…」および「子どもたちに精神的豊かさを…」の2テーマです。

第2回はラーニングプロセスの矢吹さんに、認定ファシリテーターである菅原さんが加わり、計2名のファシリテーターがワークショップを実施しまし た。矢吹チームのテーマは「豊かな自然と懐かしい風景を残し、活用する活動を進めていくためのアイデアとは?」、そして菅原チームのテーマは「子どもたち に精神的豊かさをもたらす教育と遊びのアイデアとは?」です。

前回は「あるべき姿を描く」ために視覚会議のフェーズⅠを使用しましたが、今回は「アイデア発想」のためのフェーズⅡを使用しました。おおまかな流 れはフェーズⅠと変わらず、個人でのアイデア出し、グループでの発散(全員が順番に単語で発言し、ファシリテーターが発言をホワイトボード上に単語で見え る化していく)、単語・アイデアの関連付け、投票によるキーワード選択、そしてキーワード作文…という流れで実施します。フェーズⅠとの最も大きな違い は、個人でのアイデア出しの際に "智慧カード" という発想トリガーカードを使用する点です。

"智慧カード" は旧ソビエトで開発された技術開発理論 "TRIZ" に基づいて開発されたツールです。TRIZとは、旧ソ連海軍の特許審議官が40万件の特許情報を分析してまとめたもので、智慧カードはこの理論の一部であ る「技術的ブレークスルーのための40のパターン」をわかりやすい言葉とイラストでカード化したもの。このカードをめくりながらアイデア出しをすると、一 人で考えて行き詰まった時にでも自動的にアイデアが湧いてくるという不思議なツールです。

智慧カードの詳細については、アイデアプラント内のページ(http://www.ideaplant.jp/products/chiecard2/index.html)をご覧ください。

智慧カードも使いつつ、2つのチームで視覚会議®フェーズ2のワークショップを実施した結果は以下のとおりです。

矢吹チーム
<キーワード>
- バイク駐輪所 + 町家宿泊
- 倉敷駅木造化
- 自転車レンタサイクル
- 合宿所・シェアハウス
- 合宿所・シェアハウス + 食べる
- 遊び
- 遊び + 町で鬼ごっこ
- 遊び + 家族ゲーム
- 老人の居場所 + 子どもの通れる場所
- 和式トイレ活用/ウンココロ
- 広場・はらっぱ

<得票数の大きかった作文>
- 倉敷駅や町家に駐輪場を備える。ハイブリッドでレトロモダンなレンタル自転車で街中をゆったり廻れるようにする。(★5つ)
- 使われていない町家をシェアハウスに。近場から海・山の幸が手に入る上、自ら野菜も作れる。移動は歩き、または自転車(★5つ)
- 老人の居場所と子どもの居場所を作るために、町家でおやつを食べることを習慣にする。そこれは本を読めたり、ホッとお茶を飲めたりする。まちかど図書館と組み合わせ、学校から帰ってきた子どもたちが行くところにする。図書館の留守番は高齢者がおこなう。(★4つ)
- 「倉敷レトロモダン宣言」 倉敷の目指すレトロモダンは、洗練された大人の趣味が似合う町づくりである。木造の駅舎、自転車、そして大人のライダーが集い、若者が合宿やシェアハウスを利用している。(★4つ)
- 駅の木造化により、駅前の景観が一変。さらに、車よりも歩行者や自転車が優先されるエコな場にも。(★4つ)
- 広いエリアを対象に、広場やはらっぱなど大小含め、多様に使える場として自転車で結ぶ。そこは、合宿所にも、フリーマーケットにも、公園としても使え、1 つのイベントでまとめて使用することも、バラバラに使用することもできる。屋外型イベントホールのような使用で、晴れの国にも最適である。(★4つ)
- 「ウンココロ計画」 町家のトイレを中心に「和」のスタイルを徹底する。トイレは木造。オシャレに。しかし「和式」で懐かしい風景とそのエネルギー活用もおこなう。(★4つ)

菅原チーム
<キーワード>
- 頑固親父と相思相愛
- 家庭での対話
- 身近な死
- 育てた動物を食べて死を学ぶ
- 不便さの疑似体験
- 多様な価値観から選ぶ
- 多様な価値観が共存するコミュニティ
- 多様な価値観が存在するコミュニティに受け入れられる
- 大人の遊び
- 大人も遊べるアート

<得票数の大きかった作文>
- 頑固親父を愛し・愛され、説教される中から、子どもたちに伝統を継承する。そして、子どもたちも頑固親父に今の遊びを教え、一緒に遊び、共存する。その為 には、町で子どもたちが安心して遊べる場つくり、交通の整備などをする。誰でも楽しめる町は、子どもたちに精神的豊かさをもたらす。(★5つ)
- 多様な価値観が共存するコミュニティを創り、そこに子どもが共存するための方法として、まずは地域に住む大人が豊かでなければならない。大人の感性を豊か にするために、大人はそれぞれ真剣な遊びを持ち、楽しんで生活することが重要になる。そこにはアートがあり、お祭りがあり、そういった仕組みの中で密接な コミュニケーションが生まれ、その中で子どもも成長していく。そういった中で、精神的に豊かな教育が育まれる。(★4つ)
- 大人も楽しめるお祭りに参加する。笑顔になれる場所を作る。交流が生まれれば、多様な価値観も共存することが認められる。それを傍で見ている子どもたちは、真似するように自然と身につけられる。
- 多様な価値観が共存するコミュニティを実現するために、さまざまな働き方のある地域でお祭りをする。その為に、在宅勤務制度を作り(公民館などにワークスペースも作る)、アーティストを空き家や小学校に定住させ、お祭りではすべての世代に役割分担する。(★4つ)
- 「大人エセアーティスト計画」大人がアーティストと共に企画を縦、エセ(?)アーティストになり、子どもを教える立場になってみる。教える子どもは他者の 子どもであり、子どもも変化する。大人には、他のこどもと接することで自分の子どもとの違い・個性を、大人がまずアートに触れてその楽しみを知り、そrを 子どもに伝えることで、文化を継承できる、親と子が一緒の体験をすることで、価値の共有と対話を生む、などの効果が期待できる。(★4つ)

会議終了後、参加者の皆さんに感想などを伺ってみました。

「実現性を考えずにアイデアを出すのは難しいですね。もう少し突飛なアイデアが出せるようになれたらいいです。」

「突飛なアイデアというのは慣れないうちはなかなか出てこない…というのを感じました。」

「好き勝手に意見を出すのが楽しく、次にこの意見がどうなっていくのか楽しみ。」

「30年後の倉敷について創造するのは、頭にロックが掛かってしまっているようでなかなか難しい。」

「自分の中に『思い込みがある』というのを感じました。ついつい実現可能性を考えてしまいますね。」

「一人で考えているとキーワードが曖昧だが、皆さんの意見を聞いているうちに自分の中でアイデアが具体的になっていくと感じました。」

「これが次にどう繋がっていくのかがまだ見えないが、どうなるか楽しみ。」

「もっとトンガッた、もっとあり得ないアイデアが出せたり、イレギュラーがあっても良かった。」

「単純に、人が集まるといろいろな意見があるんだなということと、このようなことを考える機会が普段はないので、はじめて参加して楽しかったです」

「一人だと浮かんでこないことでも、他の人の意見を聞いて、はじめて自分の中で『こういうことかな?』と気付かされることもあるな…と感じました。」

視覚会議®のグランドルールの1つである「突飛さ歓迎」は、慣れるまではなかなか実現が難しいようですね。「…もっと突飛なアイデアを出したい!」 と感じた方が多かったようでしたが、頭の中の枠を外して自由に意見を言えるようになるためには "慣れ" の部分も大きいはずです。おそらく次回の「倉敷未来会議」では、今回以上に突飛なアイデア・意見が飛び出すのではないでしょうか? また、一人では出せな いアイデア・意見がみんなとだと出てくる、と感じた方も多かったようです。個人から出た単語やアイデアをホワイトボード上でつないでいくことで、新しい価 値や関係性を見い出せる点が、視覚会議の楽しさでもあります。3月21日に予定されている第三回の倉敷未来会議では、視覚会議®フェーズ3を使って、得票 数の多かったアイデアのうちいくつかの実現可能性を高めます(=アイデアを強化します)。次回でいよいよ最終回を迎える倉敷未来会議を皆さん楽しみにして ください。

参考:一般社団法人倉敷未来機構 https://www.facebook.com/kurashiki.miraikikou/info